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住宅ローンの繰上げ返済、する派?しない派?それぞれのメリットとデメリット

NEW 22.05.20

住宅ローンの繰上げ返済
 
住宅ローンは毎月(もしくはボーナス時に)決まった金額を返済するのが一般的ですが、余裕がある時に一時的に返済額を増やす「繰り上げ返済」という方法もあります。ローンの総返済額を減らせることから、多くの人が利用を検討しています。しかし繰り上げ返済にはメリットがある一方でデメリットもあります。さらに、状況によっては繰り上げ返済を利用しないほうがいい人もいます。

ここでは「繰り上げ返済」の仕組みとメリット、さらに意外と知られていないデメリットについても説明いたします。

 

 

1,住宅ローンの「繰り上げ返済」とは?

 
住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別に、元金の一部もしくは全部を返済することです。元金が減ることでその分の支払い利息もなくなるので、総返済額が少なくなります。

住宅ローンの返済には一般的に、毎月の返済額が一定額である「元利均等返済」が採用されています。この返済方式の場合、ローン残高の多い支払い開始当初に最も高い利息を支払い、ローン残高が減るにつれて徐々に支払う利息の額が減ります。

つまり、ローン残高の多い初期に繰り上げ返済を行うことで、効果的に元金を減らすことができ、その分利息の支払い額も少なくなるのです。
 
繰上げ返済の方法には、大きく分けて「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2通りがあります。

 

期間短縮型

期間短縮型とは、繰り上げ返済によって返済期間を短くする方法です。返済期間が短縮される分だけ、金利負担が減ります。定年までに住宅ローンを完済したい人や、計画的に早期完済したい人などに向いています。ただし、毎月の返済額は変わらないので、繰り上げ返済の効果を実感しづらいという特徴もあります。

期間短縮型は、後述する返済額軽減型より総返済額が少なくなります。

 

返済額軽減型

返済額軽減型は、残りの返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法です。医療費や教育費などの出費が増えるタイミングで月々のローン返済額を軽くしたいなど、家計のキャッシュフローを調節したい人に向いています。

返済額軽減型は、期間短縮型よりも総返済額の軽減効果は低くなります。

 

期間短縮型と返済額軽減型を比較

返済期間を短縮する「期間短縮型」と毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」でどのくらいの負担軽減効果があるか、比較してみましょう。条件は下記の通りです。
 
<シミュレーション内容>
借入額:3,000万円
借入期間:35年
金利:1.5%(固定)
返済方式:元利均等返済
繰り上げ返済時期:5年後に一部繰り上げ返済
繰り上げ返済金額:300万円
 
この条件では、「期間短縮型」と「返済額軽減型」における総返済額は次のようになります。
 
<総返済額の比較>
期間短縮型:3,703万6,751円
返済額軽減型:3,785万1,660円
繰り上げ返済しなかった場合:3,857万9,100円
※三井住友銀行のシミュレーションツールを利用
 
繰り上げ返済をすることで約70万円〜150万円の負担軽減につながります。特に、期間短縮型と返済額軽減型の差は約80万円にものぼるので、このシミュレーションからも期間短縮型のほうが有利なことがわかります。

 

2,繰り上げ返済のメリット・デメリット

 
繰り上げ返済は、トータルの返済額が減るなどのメリットがある一方でデメリットもあります。ここで、メリットとデメリットを整理しておきましょう。

 

繰り上げ返済のメリット

 

メリット1:支払い利息(総返済額)が減る

もっとも大きなメリットは、元金を繰り上げ返済することで、利息負担を大幅に軽減できる点です。先ほどのシミュレーションでは、繰り上げ返済を利用しなかった場合の総返済額は3,857万9,100円です。これに対して、期間短縮型は3,703万6,751円なので、その差は150万円以上になります。

 

メリット2:家計の改善

返済額軽減型で繰り上げ返済をした場合は、毎月の返済額が減るのでその分家計に余裕が生まれます。子どもが進学するタイミングなど毎月の出費が増えるタイミングを見越して、事前に支出をコントロールできれば家計の助けになるでしょう。

 

メリット3:老後資金の準備期間が長くなる

住宅ローンを定年前に完済すれば、それだけ早く老後資金の準備期間をとれます。例えば、現役時代にすべてのローンを払い終えれば、その後の余剰資金を投資に回すこともできます。資産運用に抵抗があるのならば、預貯金に回すのもいいでしょう。いずれにしても、定年後に収入が減った後も住宅ローンを返済し続けるという不安定な状況は回避できます。
 

 

繰り上げ返済のデメリット

 

デメリット1:住宅ローン控除が受けられなくなる可能性がある

住宅ローン控除は、毎年末の住宅ローン残高、または住宅の取得対価のうちいずれか少ないほうの金額の1%が10年間(2019月10月〜2022年12月までに契約した場合は13年)にわたり所得税の額から控除される制度です。

無計画に繰り上げ返済をし過ぎるとローン残高が減るため、このメリットを受けられなくなってしまう場合があるので注意が必要です。

また、「期間短縮型」では、繰り上げ返済の結果、残返済期間が当初のローンの支払い済み期間と合わせて10年未満になってしまうと、住宅ローン控除が受けられなくなります。

 

デメリット2:過剰な繰り上げ返済が家計を圧迫

余裕のある資金だけでなく生活資金まで繰り上げ返済に回してしまうと、病気やケガ、子どもの教育費など予想外の出費が必要になった場合、対応に困ることになります。別途ローンを組もうとすると住宅ローンよりも金利は高くなります。また、万一失職してしまった場合には新たにローンを組めなくなる可能性があります。

住宅ローンの利息軽減を優先するあまり過剰な繰り上げ返済をしてしまい、家計が圧迫されて日々の生活が苦しくなるという状況にならないよう、預貯金と返済額のバランスを考えて繰り上げ返済の計画を立てることが重要です。

 

デメリット3:手数料がかかる場合も

繰り上げ返済をするには、基本的に事務手数料が必要になります。金融機関によりますが、窓口での手続きでは1回につき5,000円~5万円ほどかかります。

ただ最近では、WEBサイト上で住宅ローンの繰り上げ返済が完結できるインターネットバンキングを利用することで、手数料が無料になることが多くなっています。ちなみに、フラット35は繰り上げ返済を何度おこなっても無料です。

 

3,繰り上げ返済に最適なタイミングと注意点

 

住宅ローンは返済期間が長くなるほど金利負担が大きくなります。そのため、総返済額を減らしたいのならば、なるべく早く繰り上げ返済を行うのが得策です。繰り上げ返済に最適なタイミングは個々の事情によって異なるので一概には言えませんが、おおむねローン返済開始後10年以内が良いと言われています。

 

ただし、先述したように、住宅ローン控除との兼ね合いには注意を払うべきです。控除額はローン残高によって決まるので、繰り上げ返済によって残債が減るとその分控除額も減ります。また、期間短縮型の繰り上げ返済によってローン期間が10年未満になると、住宅ローン控除が利用できなくなります。

 

さらに適用金利の高低でも状況は変わってきます。住宅金利が低ければ、当然金利負担も少なくなくなります。そうなると、残債があったほうがより一層住宅ローン減税の効果を得られることになります。

 

元金の早期返済がベストではあるものの、ローン残高や残りの返済期間、金利の高低にも左右されます。シミュレーションサイトや金融機関、ローン事情に詳しい不動産会社などに相談しながら、どのタイミングで繰り上げ返済を利用するのか、どの程度の繰り上げ返済額がより効果を発揮するのかを見極めましょう。
 


 

4,まとめ

 
一般的な住宅ローンの返済は最長35年の長きにわたって続きます。経済的に余裕があれば、繰り上げ返済の利用を検討するのも良いでしょう。繰り上げ返済を利用したほうがいい人、利用しないほうがいい人を整理すると下記のようになります。
 
<利用したほうがいい人>
• 手元に余裕資金が十分にある人
• 近い将来に教育費や医療費など他の支出が増えるため家計を改善したい人
• シミュレーション結果によって、繰り上げ返済のメリットが大きいと判断した人
• ローン返済開始後10年未満で繰り上げ返済の効果を十分に享受できる人
• 他の住宅ローンや教育ローンなどを組むために現在の住宅ローンを整理したい人
 
<利用しない方がいい人>
• 現預金の減少によって現在の生活に支障が出る人
• 完済までの残り期間が短い人
• 明確なシミュレーションを行っていない人
• 住宅ローン控除・手数料などを計算した結果あまりメリットがないと判断した人
 
住宅ローンの負担を軽減するためには、繰り上げ返済の他にも「借り換え」という方法もあります。これは新しい住宅ローンを組み直して、現在のローンを一括完済するものです。より低金利の住宅ローンを借りられれば、毎月の返済額も少なくなります。
 
借り換えのポイントは、複数の住宅ローンを比較することです。現在付き合いのある金融機関だけに相談すると、選択肢が狭まる可能性もあります。不動産会社の中には、今組んでいるローンの状況を加味しながら、たくさんの選択肢の中から借り手にもっとも合った住宅ローンを提案してくれるところもあります。
 
繰り上げ返済や借り換えローンの利用を考えている場合は、事前のシミュレーションが必要不可欠なので、信頼できるパートナー探しからはじめてみてはいかがでしょうか。

 

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