不動産を売却するときに覚えておきたい、家の減価償却の基本知識

18.03.28

 

 

不動産を売却する際に耳にする「減価償却」という言葉。これは時間の経過と共に価値が減少していく「不動産」に対し、取得にかかった費用と耐用年数に応じて「必要経費として配分」する会計処理のことを言います。

今回はその「減価償却」の基本知識と計算方法、また不動産を売却する人にとっての重要性について説明いたします。

 

 

家の減価償却、基本知識

 

建物や建物に付属する設備などは、1回使ったら処分するようなものではなく、非常に長い期間にわたって利益を生み続けると同時に、年月が経つと価値が減少していきます。購入する際には相応の金額を支払う必要もあります。こういった資産の取得費用は、一回で費用計上して会計処理をするよりも、使用可能期間にわたって分割して会計処理すること望ましい、という考え方のもと行われるのが減価償却なのです。
 
減価償却費は、実際に支出する費用ではないものの、かかった経費として計上することができます。税金は取得した費用からかかった経費を差し引いた金額に一定の税率が加算されるため、減価償却を知っておくことは節税のためにも重要であると言えます。
 
不動産を購入した段階で減価償却の計算をする必要はありませんが、売却をする場合には必要になります。売却が成立すると、売却により発生した所得=不動産譲渡所得を計算する必要がありますが、そのためには減価償却の計算が必須となるからです。

 


 

減価償却できる取得金額

 

減価償却とは劣化分を差し引くことなので、もともと劣化という概念がない土地については除外して考えます。木造住宅の場合、土地部分と建物部分に分かれるため、取得金額から建物部分だけの取得金額を抽出する必要があります。購入時の売買契約書に土地と建物の金額が記載されている場合は、その金額を使って計算することになります。もしも明記されていない場合でも、必ず記載される消費税は建物部分にだけ課税されているため、そこから逆算することも可能です。

 
 

減価償却費の計算について

 
減価償却費は、定められた償却率と計算式によって計算しますが、まずはその物件の取得費・償却率・耐用年数を知る必要があります。

 

不動産取得費の計算

 
上記でお伝えした通り、減価償却の対象となるのは建物のみとなります。先ほどの方法で不動産の取得費用を「土地」「建物」に分けて計算すると、建物にかかった取得費が出ます。

仮に建物分の取得費が3000万円だったとすると、これを更に「建物本体」と「建物に付属する設備」に分ける必要があります。これらは契約書に記されていない可能性があるので、物件の工事費の中で建物と設備の割合を確認し、計算していきます。

 

例えば3000万円の建物取得費用のうち、設備の工事費用が30%だったとすると

 

建物本体の取得費:3000万円×70%=2100万円

建物の設備の取得費=3000万円×30%=900万円

 

となります。

 

 

家の耐用年数

 
耐用年数を算出するには、「国税庁ホームページ|耐用年数(建物・建物付属設備)」から法定耐用年数を確認する必要があります。一般的に取引される住宅の耐用年数は下記の通りです。

 

・木造住宅:22年

・れんが造:38年

・鉄骨鉄筋コンクリート造:47年

・建物の設備:15年

 

もし、売却する物件の築年数が上記全ての法定耐用年数を超えていた場合は

 

耐用年数=法定耐用年数×0.2(端数切捨て)

 

この計算で正確な耐用年数を求めます。

 

仮に建物の築年数が全て上記の法定耐用年数を超えていなかったとすると

 

耐用年数=(法定耐用年数―築年数)+築年数×0.2(端数切捨て)

 
 

 

 

償却率の確認

 

上記で求めた耐用年数を元に、「国税庁ホームページ|減価償却資産の償却率表」から該当物件の償却率を調べましょう。不動産の取得日が「平成19年4月1日以後」「平成19年3月31日以前」のどちらかで償却率が変わりますので、注意が必要です。

 

 

減価償却費の計算方法

 

減価償却費の計算方法は、定額法と定率法の2種類に分かれます。

 

定額法:購入にかかった費用を耐用年数で割り算出された減価償却費を、毎年同額計上し続ける方法

建物の取得費用×定額法の償却率

 

定率法:購入にかかった費用に対し毎年一定の償却率をかけて算出される金額を計上

定額法とは異なり、当初の減価償却費は多く、毎年減価償却費が減少していきます

(建物の取得費用―前年度までの償却費の合計金額)×償却率

 

建物本体の計算は定額法が適用され、定率法は適用されません。建物の設備に関しては、定額法・定率法どちらも適用されますが、一般的には定額法が用いられます。

 

 

 

これらの計算方法を元に、下記の物件の減価償却を計算してみましょう。

例)建物本体の取得費用:2000万円

建物の設備の取得費用:700万円

建物構造:SRC造 築20年

 

建物本体の耐用年数=(47-20)+20×0.2=31年

建物の設備の耐用年数=15×0.2=3年

 

建物本体の償却率(定額法)=0.033

建物の設備の償却率(定額法)=0.334

 

減価償却費(建物本体)=2000万円×0.033=66万円

減価償却費(建物の設備)=700万円×0.334=233万8千円

合計:299万8千円

 

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以上が不動産売却における減価償却の基本知識と計算方法になります。
 
減価償却分を増やす方法として、購入する前に不動産の土地・建物の分配を確認し、建物の分配を増やすなどがあげられますが、購入して経費計上する時は良くても、いざその不動産を売却する際に「売却価格は低くなる」というデメリットもございます。(不動産の売却価格は土地価格に基づくため)
また耐用年数が短い不動産を選ぶことで、その分減価償却費も高くなりますが、耐用年数が短いほど劣化が早く売却する時の不安要素にも繋がります。
 
減価償却費を増やすことを前提として物件を購入すると、売却する時に痛手を負うケースもありますので、あくまで「減価償却費を増やす方法」の一つとして覚えておく程度に留めておきましょう。