コラム
2022.08.07家づくり デザイン 間取り リノベーション
キッチンのパントリーを徹底解剖!3つのパターンとメリット・デメリットを解説
食料品などを備蓄するための収納スペースである「パントリー」が、リノベーションを考えている人たちの間で人気を集めています。最近は新築物件にもパントリーを導入する人が増えています。パントリーには収納力アップやキッチン周りの利便性向上など、たくさんのメリットがあります。今回は、パントリーの種類をはじめ、メリット・デメリット、さらには設置する際の注意点まで詳しく解説します。
CONTENTS
パントリーとは
パントリーとは、キッチンの中もしくはキッチンの近くにある収納スペースのことです。「食品庫」や「食品貯蔵庫」などとも呼ばれています。通常は、常温の食品や調味料、調理家電や調理器具などの保管場所として使われます。
近年は食材の買い置きや災害時のための備蓄品の収納、さらには日常的には使わない調理家電などを置いておくスペースとして、新築住宅の購入者やリノベを考えている人たちを中心に人気が高まっています。
パントリーは、家の広さや用途に応じて、収納棚のような小さな造りのものや、より大きな収納力をもつ小部屋タイプのものまでさまざまです。
収納力やキッチンの利便性を向上させるなど魅力がたくさんあり、パントリーに対して憧れを持つ人たちも増えています。
パントリーの3つのパターン(壁付け、ウォークイン、ウォークスルー)
パントリーには、「壁付け」「ウォークイン」「ウォークスルー」の3タイプがあります。家の間取りや広さ、用途やライフスタイル、予算などに応じて、最適なタイプを選ぶ必要があります。ここでは、3タイプのパントリーについて、特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
タイプ1:壁付け
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壁付けのパントリーは、壁面に収納スペースを設けるタイプです。料理をしながらすぐにパントリーに手が届くなどアクセス性が魅力で、作業効率のアップも期待できます。また、壁面収納の扉を開けば、一目でストック状況が分かるのもメリットの1つです。日常的に使う備品や調味料、パスタや缶詰などの、比較的消耗スピードが早い食品などの「買い忘れ」を防ぐことができます。
デメリットは小部屋タイプのパントリーに比べて、収納力が低い点です。限られた壁面スペースに設えるため、ウォークイン・ウォークスルータイプのパントリーよりも、収納できるスペースが狭くなります。また扉のタイプを引き戸にすると収納スペースが狭くなり、逆に開き戸にすると家事・生活動線を阻害する可能性があるなどの特徴があります。生活スタイルや間取り、用途によって、事前に設置方法をよく検討する必要があります。
タイプ2:ウォークイン
この青ラインの先にあるのが下記のウォークインパントリーです。
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ウォークインタイプは、小部屋になっているパントリーで、入り口は1つです。壁付けのタイプに比べて、収納力は格段に上がります。壁付けタイプのパントリーには収納できないような、かさばる食材や調理器具なども収納できます。
来客時には、通常は出しっぱなしにしているような調理器具などを収納することでスッキリとしたキッチン周りにできます。リノベーションでキッチンカウンターなどを作る場合には、生活感を取り除くことでオシャレな空間を演出できます。ダイニングやキッチンカウンターで来客と食事をしながら歓談を楽しみたい人にとって、大きな収納力のあるウォークインタイプは魅力的でしょう。
一方、アクセス性と管理のしやすさが壁付けタイプに劣る点がデメリットに挙げられます。キッチンから必要な食材や調理機器を出すために、小部屋に入る必要があります。そのため作業効率が下がり、人によってはおっくうに感じる場合もあるでしょう。また、高い収納力によって多くの物を乱雑に詰め込みすぎると、管理が大変になります。必要な食材や備品の有無を把握できずにあとで困るケースが出てくるかもしれません。
タイプ3:ウォークスルー
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ウォークスルータイプもウォークインと同様に小部屋タイプなので収納力の高さがメリットです。ウォークスルーは、出入り口が2つあるタイプです。例えば、玄関からパントリーにアクセスしキッチン側からも出られるタイプ、キッチン側と洗面室の2方向からアクセスできるタイプなどがあります。
玄関とキッチンの間にパントリーを設けた場合、買い物からの帰宅後にパントリーに直行できます。野菜や米袋、ワインやアルコール飲料などをそのまま保管できるので、負担が軽減します。
デメリットは、ウォークインタイプに比べて出入り口が1つ多いため、収納力が落ちる点です。また2方向からアクセスできる間取りや構造に対応していないと、そもそもウォークスルータイプのパントリーは作れない点もデメリットと言えるかもしれません。
パントリーのメリット・デメリットとは?
新築住宅やリノベーションでパントリーを設置するかどうかを決めるためには、メリットはもちろん、デメリットについても把握しておく必要があります。ここでは、パントリーに関するメリットとデメリットを紹介します。
パントリーのメリット
・メリット1:収納力とアクセス性
パントリーの最大のメリットは収納力とアクセス性です。壁付けやウォークイン・ウォークスルーのタイプによらず、食品などを保管できるスペースが格段に増えます。また、別の収納部屋や床下収納などとは違って、キッチンからすぐにアクセスできる利便性はパントリーならではのメリットです。特に料理好きな人にとっては、キッチン周りをごちゃごちゃさせずにさまざまな食材を手元に置いておけるのは、大きな魅力です。
・メリット2:災害時のための備蓄ができる
日本は諸外国に比べて自然災害が多い国として知られています。実際に近年、地震や水害などが多発しており、災害時に備えて水や食料を備蓄している家庭も増えているでしょう。水や缶詰などの備蓄食料はかさばる物が多いので、保管場所に困るケースがあります。その際にも、パントリーは役立ちます。さらに日々の生活の中で備蓄食料を消費し、買い足していく「ローリングストック」も、パントリーがあれば手間なく実践できます。
また、食費におけるコスト意識が高い人は、安売り時にまとめ買いをするケースもあるでしょう。パントリーがあれば、大量に買い込んだ食品や飲み物などをストックするスペースとしても使えます。
・メリット3:食材や備品の管理が楽になる
キッチン周りには通常複数の収納棚や引き出しが付いており、用途に応じて食材や備品を収納している家庭がほとんどでしょう。その場合、どこにどれだけの物があるのか、把握しづらいというデメリットがあります。
パントリーは、食材や日用品などをひとまとめに収納できるので、きちんと収納すれば在庫状況が一目瞭然です。買い足す必要がある食材や、キッチンペーパーやゴミ袋、コーヒーフィルターなどの備品の不足などもすぐに分かります。
・メリット4:キッチンが片付く
収納スペースが増えることで、出しっぱなしにしていた食材や調理器具をしまうことができます。特に、生活感を消したい人やキッチン周りをスッキリさせたい人、オシャレな空間を作りたい人にとっては大きな利点となります。
さらに、キッチンが片付くことで作業スペースが広くなるので、料理がしやすくなります。作業効率の向上や、料理をするときにかかるストレスが軽減できるのもメリットに挙げられるでしょう。
パントリーのデメリット
・デメリット1:ある程度のスペースが必要
パントリーを作る際には、相応のスペースが必要になります。そもそも部屋の構造や間取り上、スペースが確保できない場合もあるでしょう。また、扉をつける場合は、廊下やキッチンの作業スペースに干渉することもあります。そうなると、料理や生活にも支障が出て、ストレスになってしまう場合があります。
・デメリット2:大量の食品などを備蓄すると管理が大変
大量の食品や備品を保管すると、人によっては管理が大変になるかもしれません。しっかりと整理できれば問題ないものの、買いすぎて乱雑に積み上げたり、バラバラに収納すると、パントリーの良さを生かし切れません。パントリーの収納力を最大限に生かすためには、収納スキルも持ち合わせていないといけない点は、理解しておくべきでしょう。
・デメリット3:デッドスペースが生まれる可能性も
パントリーに求める用途についても、事前に考えておく必要があります。棚の寸法や通路の広さ、扉の開き方などによっては、うまく使いこなせないケースも出てきます。せっかく広いスペースを取ったのに一部しか使わなかった、デッドスペースが生まれてスペースを無駄にした、家事動線・生活動線の邪魔になりうまく活用できなかった、などパントリーの収納力を無駄にしてしまうリスクもあります。
パントリーの設置はライフスタイルや目的などで決める
パントリーには多くの魅力があるので、強い憧れを持っている人も多いかもしれません。実際にパントリーを作ることで得られるメリットもたくさんあります。ただし、人によっては持て余したり、パントリーの収納力や利点を生かしきれないこともあります。
自分にとってのパントリーが必要な理由や目的を明確にすることが大切です。料理が好きで、常温の食材や缶詰、乾麺などを備蓄したい人や調理器具の収納場所として使いたい場合はパントリーを最大限に活用できるでしょう。また、キッチン周りをスッキリさせたい人や作業スペースを広々ととりたい人もパントリーの設置でメリットを享受できる人です。
一方、キッチンの棚や引き出しなど最低限の収納力があれば問題ないという人もいるでしょう。そうしたタイプの人は、パントリーを設置するメリットがあまりないかもしれません。見た目や流行で判断するのではなく、ライフスタイルや考え方など、自分の目的と用途を整理することが大切です。
パントリーを設置する際に注意すべき2つのこと
使いやすいパントリーにするためには、いくつか注意すべき点があります。ここでは、「棚」と「コンセント・照明」の2つ視点から注意点を解説します。
注意点1:棚の奥行きと可動性
1つ目の注意点は「棚」についてです。重要なのは、奥行きと可動性です。
パントリーの収納力を最大限に発揮したいと考え、奥行きの大きい棚板を入れてしまうと、使い勝手が悪くなってしまいます。基本的に棚に置く食材や備品は手で持てるサイズの物が多いでしょう。それらの食品類を棚から出すときに、あまりにも奥行きがありすぎると取り出しにくくなります。さらに、外から見たときにアイテムを探すのに手間取る可能性があります。棚板の奥行きはおおむね30〜45㎝を目安にするといいでしょう。
また棚を固定棚にしてしまうと、あとから調整ができません。棚板は可動式のものにしましょう。最初からすべての収納物に関して、どこに入れるかということをかっちりと決めるのは現実的ではありません。パントリーをある程度使い続けていくうちに、棚板の高さを変えながら、使い勝手のいいものにしていきましょう。
注意点2:コンセントと照明
ウォークインやウォークスルータイプのパントリーは、小部屋になっているため、中で家電を使ったり、充電したりする機会もあります。例えば、ハンドクリーナーや電動ミルなどをコンセントにさして使用または充電するケースです。他にも最近はさまざま便利家電があるので、電化製品を使うシーンが増えてくるかもしれません。そのためのコンセントの数は事前に確保しておきましょう。またコンセントの位置も計算して配置できれば、なおいいでしょう。
照明に関しては、特に小部屋タイプのパントリーでは感応式のライトが必須です。重い荷物を持っていると両手が塞がってしまうので、自動で照明が点灯・消灯するタイプのものを設置しましょう。
まとめ
パントリーは、生活を楽にしたり、住空間を豊かにしてくれる可能性のある設備です。一方で、ライフスタイルによっては必ずしも必要ではない場合があります。例えば、毎日こまめに買い足しをする家庭と、週末などにまとめ買いでストックを蓄える家庭では、パントリーの必要性に差が出てきます。
また収納が必要と考えている場合でも、キッチンや食器棚に十分な収納量を確保できれば、パントリーは不要になるケースもあります。現状の設備を有効活用できれば、余計なコストをかけなくて済みます。
とはいえ、新しい住宅を手に入れる際にはさまざまな選択肢のなかから比較検討したいと考える人も多いはずです。自分や家族の暮らし方や考えを整理し、どのような収納方法が良いのかについて、相談することが大切です。もし家族で決めきれない場合には、リノベーションの担当者と一緒に話し合うことで最適な答えが見つかるかもしれません。
パントリーのある暮らしについて具体的なイメージがわかない場合には、たくさんの事例を見て自分の好みに近いものを見つけると良いでしょう。弊社では、多種多様なパントリーの施工事例があります。ショールームでは、未公開のリノベーション事例もご覧いただけます。
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