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コラム

2023.02.04

家づくり 家探し 不動産 素材・工法 リノベーション

火災に強いマンションの選び方と、リノベーションで行う火災対策について

マンションは戸建住宅に比べて耐火性が高く、火災に強いと言われています。しかし、建物構造自体が火災に強くても、避難設備に不備があったり、内装が燃えやすかったりする場合には話は変わってきます。

そこで今回は、火災に強いマンションと弱いマンションの見分け方、リノベーション工事で行う火災対策について解説します。また、今すぐにできる4つの対策もあわせて紹介します。

 

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火災に強いマンションと弱いマンションの特徴とは?

マンションを選ぶ際にはさまざまな要素を比較検討するかと思いますが、安心・安全面を重視する人も多いのではないでしょうか。例えば、セキュリティ対策が万全のマンションや自然災害に強いエリアの物件を選ぶのも一つの重要な視点です。また、日本列島のように地震が多い国では、耐震強度の高いマンションを選ぶのも重要です。

一方、日常生活で起こりうる身近なリスクとしては、「火災」が挙げられます。自分自身が起こしてしまう可能性もあれば、隣家からのもらい火などもあります。できる限りリスクを排除したいのであれば、火災に強いマンションを選ぶべきです。

ここではマンション選びのヒントとなるような、火災に強い/弱いマンションの特徴を3つお伝えします。

隣の建物との距離が近いと火災に弱い

マンションは、そもそも火災に強い建築構造で建てられています。「鉄筋コンクリート造(RC造)」や「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」はコンクリートを使っているために火災に強く、「鉄骨造(S造)」は熱に弱い鉄ながら、吹き付け材などによって耐火性を高めています。

そのため一般的には、マンション火災が発生しても耐火性の高い構造のため、自室がすぐに燃え上がったり、周りの部屋にすぐに延焼したり、延焼させたりすることはありません。また、建物全体が炎に包まれるということもまれです。

S造よりRC造やSRC造の方が耐火性能が高いものの(コンクリートを使っているため)、マンション構造の違いによって、大差はありません。

ただし、近くの建物からの延焼リスクについては十分に考慮しておく必要があります。建物との距離が近いと、もらい火によって自室が火事に巻き込まれる可能性が高まります。もらい火による延焼は賠償対象にならない点も注意すべき点です。

上下左右の火事で自室に影響が出る場合は、基本的には不可抗力で避けることができない事態です。一方で隣の建物からのもらい火は、物件選びの際に充分な距離が離れているマンションを選べば軽減できるリスクです。

向かいや隣の建物との距離が近すぎる場合には、「火災に弱いマンション」と言えるので、選択肢から外したほうが良いでしょう。距離の目安は、1階は3メートル、2階より上は5メートル以上離れていると安心です。

高層マンションの高層階は火災に弱い

高層マンションの高層階は、火災時に逃げるのに時間がかかります。火災発生時には、エレベーターが止まるため、住民は避難階段を使って逃げることになります。10階や20階、それ以上の上層階の場合には、階段を使って逃げ出すまでに時間がかかり、体力も必要になります。

建築基準法によって、31メートル以上の建物には非常用のエレベーターの設置義務がありますが、これは住民の避難用ではなく、消防隊員が使うためのものです(ただし非常時に高齢者や子どもが使うことは、東京消防庁などによって推奨されています)。

また、消火の際にははしご車が出動しますが、はしごが届くのはせいぜい30メートル程度です。そのため、もし上層階に取り残された場合には、消火活動の遅れにより、生存リスクが脅かされる可能性もあります。

もちろん、高層マンションには、建築基準法や消防法によって、スプリンクラー、防火区画、排煙設備などの設置によって大きな火災にならないような対策が義務化されています。

しかし、低層階の部屋よりも逃げづらいという点で、高層階の部屋は火災が起きた際のリスクが高く、「火災に弱い」と言えるでしょう。

避難設備に不備があると火災に弱い

万一火災が発生した時に、火の手が広がらないような設備や逃げるための設備がマンションに備わっているかどうかも重要です。建物は、建築基準法や消防法で定められた設備の設置義務があります。そのため、どのようなマンションにも基本的には必要な設備が備わっているはずです。

具体的には次の避難設備を確認しましょう。

誘導灯

非常口や避難経路を示すためのものです。緑のランプが切れていたり点滅している場合には、マンションの管理に問題があるケースもあります。

非常用照明

火災などで停電した時に付く照明です。バッテリーが内蔵されているため、30分程度は点灯し続ける機能があります。先述の誘導灯は非常口をさし示すもので、非常用照明は明かりを照らすものなので、用途が異なります。

避難器具

避難はしご(避難ハッチ)、すべり台、避難用タラップ、避難ロープなどの避難器具の設置も消防法で定められています。避難器具はすべての部屋に設置されているわけではありません。各階の一番端の部屋にあるケースがほとんどなので、避難しやすい=火災に強いとすると、真ん中の部屋よりも端寄りの部屋を選ぶべきでしょう。

スプリンクラー

11階以上の建物の場合は、原則、スプリンクラーの設置義務があります。築年数が古い高層階の部屋を検討している人は、念のためスプリンクラーの有無を確認しておきましょう。

▼実際に避難設備を見てみたい方はこちらのイベントがおすすめです!

リノベーションで行う火災対策について

今住んでいるマンションで火災が心配であったり、これから購入する中古物件で不安がある場合には、リノベーションによって火災対策を講じることもできます。

内装材

リフォームやリノベーションで内装工事をする場合には、内装材に耐火性能や防炎性能のあるものを使うことで、火災対策になります。

壁紙の耐火性能は下地材と施工方法で変わってきます。下地材には不燃材料や準不燃材料など、火災に強いものを使用する必要があります。素材や工法などに関しては、内容が専門的なので、施工業者やリノベ会社との打ち合わせで詳細を詰めていくことになります。

火災報知器

消防法により、すべての住宅に火災報知器の設置義務があります。原則的に、寝室や階段への設置が義務化されていますが、その他の場所についての設置義務は各自治体によって異なります。

義務化されているので、ほとんどすべてのマンションには火災報知器が設置されているはずです。よって、重要なのは定期的な点検が行われているかどうかです。

通常、機器の点検は半年に一度、総合点検は1年に一度の頻度で行われます。点検についても消防法で義務化されているので、過度に心配する必要はないでしょう。もし不安であれば、どのような頻度で行われているのかを管理会社に問い合わせてみるのも良いでしょう。

リノベーションによって、設置義務がない部屋にも火災報知器を付ければ、安心感が高まります。

調理器具の選定

キッチンの調理器具に関しては、火災対策だけを重視するのならばガスコンロよりもIHの方が安全です。IHであれば発火して、周りのものに火が燃え移るということはありません。しかし、料理を趣味としていたり、実用的な面からガスコンロを選択するケースもあるでしょう。その場合には、安全装置機能が備わっている設備を選ぶのが良いでしょう。

例えば、調理油の過熱防止機能、立ち消え安全装置、焦げ付き消化機能、消し忘れ消化機能、感震センサーなど、もしもの時に自動で火が消える機能が付いているコンロならば、火災発生のリスクを軽減できます。

コンロ周りの建材や設備に気をつける

キッチンのコンロ周りに可燃性の高い建材を使わないことなども重要です。例えば、壁に木を使わない、コンロの近くの窓にカーテンを付けないなどの火災対策をリノベ業者と相談しながら決めていきましょう。カーテンは風にあおられて着火しやすいので、もし取り付ける場合には防炎タイプのものを選びましょう。

DIYでコンロの近くに木製の吊り戸棚を作ったり、木材でキッチンカウンターを後付けしたりすると、火災のリスクが高まるので、特に火事が発生しやすいキッチンの内装は業者と協力しながら進めることが大切です。

レンジフードとダクトの距離は短く

リノベーション工事でキッチン周りの設備を入れ換える場合には、油受けがある掃除のしやすいレンジフードを選びましょう。掃除をせずそのまま放置していると、溜まった油や埃に発火して火事の原因になります。また一度油に発火すると、消火までに時間がかかり大規模な火事になる可能性もあります。

同様に、レンジダクトにも油や埃などの汚れが溜まりやすく、火災の原因になります。特に、レンジダクトが長かったり、曲がっている場合には油がより溜まりやすくなります。

リノベーション工事の際には、レンジフードから窓外の排気口までの距離をなるべく短くし、直線配管するような施工を業者にお願いしましょう。

今すぐできる火災対策

マンション火災に遭ったり、自分の過失によって火事を起こしてしまうと、場合によっては人命に関わったり、大きな経済的な損失を被る(または与える)場合があります。

そうならないためにも日頃からの対策が重要です。ここでは今すぐにできる火災対策を4つ紹介します。

避難経路の確認

まずは火災が起きた時にどのように逃げるのかを確認しましょう。非常口や非常階段の場所を確認するのはもちろん、高層階の場合には避難ハッチや避難はしごの場所も把握しておきましょう。

先述したように、避難ハッチなどの避難器具はすべてのベランダに付いているわけではありません。場合によっては隣家の間仕切り壁を蹴破って避難することもあります。そのため間仕切りの前には物を置かないように日頃から整理整頓を心がけましょう。

また、火災の状況によっては1つの経路だけでは脱出できない可能性もあるので、複数の避難経路を確保しておくと安心です。

火災報知器などの点検

火災報知器は火事が起きた際に、まっさきに異変を知らせる重要な器具です。特に深夜など寝静まっている時に火災が発生した場合、火災報知器が作動しないと逃げ遅れる可能性もあります。

そのため火災報知器がしっかりと作動するか、定期点検を行うことは必須です。これは点検業者が行うものですが、半年に一度の機器の点検や年に一度の総合点検は、できる限り立ち会って、火災報知器に不備がないかチェックしましょう。

コンセントの埃除去

たこ足配線やケーブルの断線による漏電事故も、火災原因の一つです。家具や家電の裏に隠れているコンセントに埃が溜まっている場合には、取り除く必要があります。

また、もし長期間使っていないコンセントがあれば、絶縁キャップを取り付けるなど、埃が入り込まないように工夫することも大事です。

火災保険の見直し

分譲マンションでも賃貸マンションでも、多くの人は火災保険に入っているでしょう。もらい火による火事は、相手に重大な過失がない限り賠償責任がないので、火災保険は必須と言えます。

一方自分が加害者になるケースも想定する必要があります。たばこの消し忘れなど、重大な過失が原因で火事を起こしてしまった場合は、賠償責任が発生します。その際、個人賠償責任保険に加入していれば安心です。

火災保険に関しては、自分が被害者になったケースと加害者になったケースの両方を想定して、十分な補償が受けられる保険契約を結びましょう。

▼マンションの火災保険については、こちらのコラムもおすすめです!

まとめ

戸建住宅と違い、マンションは火災に対するリスクが低く、安心しがちです。ただし、それはあくまでも隣家への被害を減らせるというだけなので、火災対策をおろそかにしている場合、専有部分が燃えて自分の生命や財産にもかかわってきます。

また火災保険についても、加害者側になってしまうと賠償責任も重いので、保険の見直しを検討する必要があります。

これから物件を購入する人は、避難経路や避難設備に問題がないか、隣の建物との距離が近すぎてもらい火のリスクが高くないかなどの観点から、適切な物件を選びましょう。同時に、必要な火災対策を漏れなく行うリノベーション工事も必要になります。

中古リノベーションのプロと一緒に物件選びをすれば、現地の状況を見てそのマンションの火災対策が十分かどうかを判断できます。火災に強いマンションを探している方は、内見の際にぜひリノベの専門家である当社に一度ご相談ください。

▼耐震強度の高いマンションについてお知りになりたい方は、こちらのイベントがおすすめです!

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