コラム
2023.01.20家探し 不動産
買ってはいけないマンションの見分け方と、買ってしまった後の対処法を解説します。
マンションは多くの人にとって「高い買い物」なので、物件選びに失敗したくないと考えるのは自然なことです。人によって何を重視するのかはさまざまですが、住宅選びのプロからみたら「資産価値」こそが、もっとも重要な要素です。
実は、資産価値が高いということは利便性や安全性が高いということでもあります。逆に言えば、資産価値が低い物件(=資産価値に悪影響を及ぼす条件が揃っている物件)は「買ってはいけないマンション」ということになります。
それでは具体的にどのような要素が、資産価値に影響を与えるのでしょうか。ここでは、物件の特徴、エリア、築年数などに分けて詳細に解説していきましょう。
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買ってはいけないマンション|物件の特徴
まずは物件の特徴からみる「買ってはいけないマンション」について解説していきます。ここで取り上げる特徴は、いずれもマンションの資産価値に大きな影響を与える要因となっています。
住人のマナーが低い
一つ目は、マンション住民のマナーに関するものです。これは、資産価値にただちに影響を与える要素ではありません。ただし、自分たちが住む上で、もっとも重視すべき点とも言えます。
マンション暮らしの中でのもっとも大きなトラブルはマナーに関するものという国土交通省の調査データもあります。日々の生活の中でストレスを感じないように、あるいはトラブルに遭遇しないように、住民のマナー意識が高いのか、マンションの管理体制がしっかりと行き届いているか確認しましょう。
出典:国土交通省『平成30年度マンション総合調査結果』
入居前に確認できるポイントとしては、「共有部分(廊下、エレベーター、ゴミ捨て場など)の清潔度」「マナー違反を警告する張り紙の有無」「上下左右の部屋の騒音」などがあります。
欠陥がある・耐震性能が低い
中古マンションの場合には、特に水回りのトラブルである「漏水」が起こりやすいので、購入前によく確認する必要があります。キッチン、洗面所、トイレ、浴室、メーターボックスなどの周辺は漏水が発生している場合にはシミや水垢などがあるケースもあるので、内見時にチェックしましょう。
入居してからはじめて水漏れや雨漏りなどが発生する場合もあるでしょう。そうした場合には、売主に「瑕疵担保責任責任(契約不適合責任)」があるので、解除または損害賠償請求ができます。
とはいえ、欠陥住宅を購入した後に、契約解除や修繕してから再度売りに出すという行為は手間も時間もかかるので避けたいというのが普通の考えです。まずはこうした物件を購入しないのが、ベストです。
また住宅の欠陥以外に、耐震性も重要なチェック項目です。古い耐震基準のマンションは資産価値を下げる要因になります。新耐震基準に適合している物件は1981年6月1日以降に建築確認されたものです。それ以前の旧耐震基準適合の物件は、一般的には購入を控えた方が良いでしょう。ただし、旧耐震基準のマンションでも耐震改修が施されていたり、耐震改修を予定している物件もあります。マンションの形状にも様々あり、旧耐震基準のマンションが全て危険というわけではありませんので、専門家の意見を聞きながら購入を検討した方が良いでしょう。
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管理費や修繕積立金が不十分
建物は経年劣化するため、定期的に修繕や改修を行う必要があります。マンションの場合には、毎月決まった額を住民が積み立てて、定期的な管理や将来的な修繕の費用に充てます。
ただし、マンションによっては修繕積立金が足りていないケースも多いのが現状です。そうなると、実際に工事や改修をする時に、別途、必要な費用を徴収されます。また管理費や修繕積立金が将来的に不足すると試算された場合は、途中で費用負担が増加するケースもあります。
コスト負担の増大を避けるためにも、マンションを購入する前には「長期修繕計画」と「修繕履歴」は必ず確認しておきましょう。今後どのような修繕計画があるのか、積立金は足りているのか、これまで外壁や建物内部の改修・補強工事はどの程度行われてきたのかを確認します。
安全性が高く、メンテナンス状態が良ければ、将来の費用負担も軽減できるはずです。
定期借地権付きマンション
定期借地権付きのマンションは資産価値が低くなるという特徴があります。定期借地権とは、決められた期限が来たら、土地を地主に返さなければならない権利のことです。
そのため、将来的な立ち退きやマンションの解体が前提となります。売却する物件がなくなる、もしくは居住期間が限定的であることから、売却価格が低くなります。
部屋数に対してエレベーターの数が少ない
100戸以上あるようなマンションの場合には、エレベーターの数が少なすぎると、利便性が下がります。例えば朝の通勤・通学時に、高層階から下りる時になかなかエレベーターが来ないということが考えられます。また夕方の帰宅時間にも同じように、利用者が多すぎてエレベーターがなかなか来ず階段を使うはめにならないとも限りません。
利便性の低さは自分が住む際にもストレスになり、売却時にも買い手がつきづらくなります。目安は100戸あたり2〜3基ですが、購入予定の物件の階数が低層の場合にはある程度柔軟に考えても良いでしょう。
メゾネットタイプや半地下の部屋
一見オシャレなメゾネットタイプやユニークな半地下の部屋も、資産価値などの点から購入を控えるのが無難です。
メゾネットは室内に階段があるタイプの部屋なので、バリアフリーの観点からデメリットになります。半地下の部屋は、日当たりや水没リスクの点で、物件の価値が下がります。
これは資産価値の観点以外にも、自分たちが住むケースでもデメリットになり得ます。今は健康でも将来のケガや病気によって、階段を昇降するのが難しくなるおそれもあります。また将来的に住み続ける前提で購入した場合にも、年を重ねた後に若いころと同様の体力を維持しているとは限りません。
日当たりや水没リスクに関しても、生活レベルを落とし得る大きなデメリットになるので、特段の理由がなければ選択肢に入れない方が良いでしょう。
20戸以下など戸数が少ない
マンションの総戸数が少ない場合、管理費や修繕積立金の負担が大きくなる傾向があります。大規模なマンションであれば、毎月3万円〜4万円程度など、戸数に応じて負担額が低くなりますが、少ない入居者数の場合は5万円以上など大きな出費が発生するケースもあります。
毎月の管理費や修繕積立金は購入前に確認できますが、将来的に変動する可能性がある点には注意が必要です。購入時には許容範囲でも、将来の想定外の値上げによって、家計に重くのしかかるリスクもあります。当然、毎月のコストが高い物件は買い手がつきにくくなります。
買ってはいけないマンション|エリア
マンションの価値は、エリアにも大きな影響を受けます。エリアごとに資産インフレ率や災害リスクの危険性が異なるためです。
▼こちらのコラムにも詳しく記載しました。合わせてご覧ください。
資産インフレ率が低い
資産インフレ率とは、新築時の価格からどれだけ値上がりしたかを示す割合です。資産インフレ率が高い方が良いマンションで、資産インフレ率が低い物件は「買ってはいけないマンション」と言えます。
将来的に売却を考えている場合には、資産インフレ率が高い方が高く売れる可能性が高まります。資産インフレ率が低い場合には、売却益が少なくなる可能性が高まります。
一方、居住用として考えた場合も資産インフレ率が高い方が有利です。資産インフレ率は、エリアの利便性やさまざまなリスクなどが影響を与えます。つまり、資産インフレ率が高いエリアは将来的な利便性が上昇する可能性が高く、安全面などの点でも安心して暮らせる場所と考えられます。
その結果、人や投資資金の流入が期待でき、住民が暮らしやすい行政サービスや交通網の整備、商業施設や公共施設がたくさん作られてさらに利便性が増す(=資産インフレ率も上昇する)という好循環が期待できます。
逆に言えば、アクセスや周辺環境が悪すぎる場合には利便性の低さから資産価値が下がるので、「買ってはいけないマンション」となります。
災害リスクが高い
物件を購入する際、災害リスクが高いマンションは選択肢から外しましょう。災害リスクとは、地震、水害、地滑り、火山噴火など自然災害の影響を受ける可能性のことです。
災害リスクに関しては、国や地方自治体が作成しているハザードマップで確認できます。リスクの高いエリアの物件は、居住用・投資用を問わず、「買ってはいけないマンション」です。
買ってはいけないマンション|新築マンション
「新しくて綺麗な物件ならば資産価値が高いはずだ」「便利で暮らしやすいはずだ」と勘違いしてしまう人もいるかもしれませんが、新築マンションもまた、買ってはいけないマンションに分類できます。その理由を3つの視点から解説していきましょう。
購入後すぐに物件価値が下がる
新築マンションは一般的な物件価格が高い上に、購入後に「中古」となった途端に価格が下落します。これは、新築物件の価格には、営業費用や広告費用が上乗せされているためです。
購入者が入居した瞬間に、その「新築プレミアム」とも言われる上乗せ分が差し引かれ、物件の評価額が減少します。そして、10年程度の期間で大きく資産価値が下がり、その後下げ幅は落ち着くものの基本的には右肩下がりで価値が下落します。数年間で当初よりも価値が半減したり、20年ほどで資産価値がゼロになるとも言われています。
中古物件も物件価値は下がりますが、下げ幅を比べたら新築の「急落」は高いリスクと言えます。
住んでいる人や管理体制の質がわからない
先述したように、住人のマナーや管理体制は、物件の価値に影響を与えます。それは自分が住む場合でも、売却用でもどちらでも同じです。中古マンションであれば、先に住んでいる人たちのマナーや行動、トラブル履歴などを確認できます。マンションの管理体制や修繕履歴などもチェック可能です。
一方で新築マンションは、居住者がいないか、新しい住人ばかりです。そのためどの程度のマナーを持った住人なのかが判断できません。
ご近所トラブルによってストレスを感じたり、管理会社の質が低く、対処が甘い場合などはマンション全体の秩序が崩れ、引っ越しを余儀なくされるという事態に陥るかもしれません。事前に、住人や管理の質を確認できる中古マンションの方がリスクを軽減できるはずです。
カスタマイズ性が低い
新築マンションはカスタマイズ性が低いのもデメリットです。例えば内装(壁紙、システムキッチン、照明、食器棚など)や間取りを大きく変えたいという場合、有料オプションでしか対応してもらえないケースがあります。
高い購入価格に加えてオプション代でさらに高額になり、初期費用が高くなります。さらに先述したような価格下落リスクも相まって、将来的な売却益が減少する可能性もあります。
もし自分好みの内装や間取りが決まっているのならば、中古マンションを購入して、フルリノベーションした方が、安い費用で、自由な家づくりができるでしょう。
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買ってしまった後の対処法
住民のマナーがひどい、周辺環境が悪く不便、将来の資産価値が心配など、「買ってはいけないマンション」を買ってしまった場合にも、対処法はあります。主な対処法を3つ紹介します。
売却する
今の家の住宅ローンが残っていても、マンションの売却は可能です。住宅ローンの返済に売却代金を充てられるからです。また、もし売却代金を充ててもローンが残ってしまう場合には、住み替えローンなどを活用すれば問題ありません。
住宅に不満があり、売却を考えているのならば、タイミングは早いほうが得です。マンションの売却価格は築年数の影響を受けるので、なるべく早く売った方が高く売れるからです。先ほど述べたように、特に新築物件の場合には資産価値の下落スピードが早いので、なるべく早めに判断した方が良いでしょう。
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賃貸に出す
「諸事情により今は住めない(住みたくない)けれど、将来的にはまた戻ってくる」「長年住んできたマンションなので売りたくない」場合には、一時的に人に貸すという方法もあります。賃貸に出せば、家賃収入が入ってくるので、住宅ローンの返済費用に充てられます。
また住宅ローンを返し終わった後は、家賃収入から管理費などを引いた金額がすべて手元に残ります。その不労所得は老後の「私的年金」になるので、将来の資産形成にも役立ちます。
ただし、人に貸す場合には、入居者募集から契約、物件の管理などの手間がかかります。そのため基本的には管理会社と契約することになります。当然費用が発生するので、その分は手元のキャッシュフローが減ります。
賃貸に出して、借り手がつくエリア・部屋なのか、将来的にも安定的な家賃収入が得られるのかなどを、コストを加味しながら事前にシミュレーションしてから判断しましょう。
リフォーム・リノベーションする
間取りが不便、設備が使いにくい、内装が好みではない──こうした室内の住みにくさが問題ならば、リフォームやリノベーションで解消できるケースもあります。マンションの規約の範囲内で、設備の入れ換えや内装工事を行い、住みやすい居住空間に変えられます。
さらに、間取りを大きく変えるリノベーションや、現在の不満点を改善させて高付加価値を付けるような改修工事を行えば、「住みにくい家」が「住みやすい家」に変貌する可能性もあります。
リフォームやリノベーションは、規約や予算、マンション構造などによってできる範囲が異なるので、管理会社とリノベ会社に相談した上で、最善の方策を検討する必要があります。
まとめ
住宅のプロでない限り、「買ってはいけないマンション」や「買わない方がいい物件」を見分けるのは難しいかもしれません。何となく気に入って購入したけれど、結局後悔して売却したというケースは意外に多いのが現実です。
ここでは「買ってしまった場合」の3つの対処法を紹介しましたが、「売却する」や「賃貸に出す」という方法は、時間も労力もかかるのでスムーズに進まないことの方が多いものです。それならば、最初から後悔しないような物件選びを心がけましょう。
不動産サイトを見て気に入った物件を見つけた時は、すぐに購入するのではなく、本当に「買っていい物件」かどうか、住宅探しのプロに相談することが大切です。
FULL HOUSEはアフターメンテナンスを主軸に120年以上事業を行っており、「住宅を長持ちさせ、循環させる」ことに重きを置いているため、資産性やメンテナンス性に特化した物件探しを得意としています。マンション選びで失敗を避けたいお客さまは、ぜひ一度当社にご相談ください。
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