中古リノベコラム

RENOVATION COLUMN

中古マンションの火災保険、第三者の視点で見る最適な選び方

22.03.31


中古マンションを購入すると、不動産会社や銀行から火災保険の加入をすすめられます。住宅ローンを借りる場合は、火災保険への加入を義務付けていることがほとんどです。火災保険に加入していれば、火災だけでなく水災や風災、水漏れや盗難にも備えられます。

火災保険は「銀行がすすめる商品に加入しなければならない」というわけではありません。どの会社の保険に加入するかは購入者の自由です。損害保険会社によって補償内容や補償を外せる項目は異なるため、プランをしっかりと検討しないと損をしてしまうこともあります。複数の保険会社から見積もりを取って比較できるよう、火災保険の選び方のポイントや最低限の知識を得ておきましょう。
 

火災保険

 

 

1,マンションの火災保険とは ?

 

火災保険とは、火災などによってマンションの室内や家財、衣類などが損害を受けたときに、保険会社に補償してもらう保険です。「火災」という名称が付いていますが、一般的な火災保険の補償範囲は水災や雹(ひょう)、雷などの天災に加えて、水漏れや自転車の盗難など多岐にわたります。

マンションを購入する時、通常は火災保険に加入します。マンションの敷地は、共有部分と専有部分に分けられますが、廊下やエレベーター、エントランス・ホール、外壁などの共有部分は、マンションの管理組合が保険に加入するのが一般的です。共有部分に適用される火災保険がどのような補償内容になっているのか気になる場合は、マンションの管理組合に問い合わせてみましょう。
 
一方、マンションの購入者が加入する火災保険は、専有部分が対象です。専有部分とは居住者が住む室内を指します。建物だけでなく、家具や衣類をはじめとした所持品などにも火災保険をかけることができます。

マンションの購入者が火災保険に入るときには、実際に被災したときに支払われる保険金額はもちろんですが、補償範囲や補償内容についてもしっかり理解しておく必要があります。
 
 

2,火災保険を選ぶときに確認すべき4つのポイント

 

火災保険選びで重要なのは、保険料と補償のバランスです。そのためには、「必要な補償内容が選べること」「いざ被災したときに充分な保険金が下りること」を考えて保険を選ぶことが大切です。

ここでは、火災保険を選ぶ際の4つのポイントである「保証対象」「補償内容」「保険金額」「保証期間」について、解説します。

 

①保証対象

火災保険の保証対象は「建物」「家財」「建物と家財の両方」の3つの選択肢があります。保険を契約する際に、マンション購入者がどの範囲に保険をかけるかを指定します。

「建物」には、室内のほかに車庫、物置なども保証対象に含まれます。また室内の設備の具体例としては電気・ガス・冷暖房設備、建具(ドア)、トイレなどがあります。
 
「家財」は、保険に入っている人やその親族が所有する物品が対象です。家具や衣類、パソコンなど多岐にわたる所有物です。また車庫や物置、宅配ボックスに収容されている物品も対象内です。現金は対象外で、貴金属に関しては保険会社によって対応が異なります。貴金属の価値が一定額以内であれば自動で加入、それ以上であれば事前の申請が加入な場合があるので、加入の際に詳細を確認しておくと良いでしょう。

 

「家財」への保険は必要?

保険の対象を「建物」のみにした方が保険料を下げられますが、現実的には保証対象は家財も含めるべきでしょう。火災や水災では多くの場合身の回り品にも損害が及びます。衣類や生活家電、仕事に関わるIT機器などは、災害に遭った後もすぐに必要になるものばかりです。生活を一刻も早く立て直すためにも、早急な買い直しが必要になります。その際の出費が火災保険でまかなえれば、少なくとも金銭的な負担は軽減できるでしょう。

 

「家財」の評価はいくらが妥当?

家財の金額に相場はありません。各家庭で家財を見渡し、「再現するとしたらいくらかかるのか?」をしっかり考えて設定しましょう。特に火災が発生した時に困るのは衣類です。すぐ着られるような衣類だけでなく、ブランド物のコートやバック・帽子なども全て家財になります。これらを全て新調しようと思うと、所持品によっては数百万円に及びます。意外と安く設定しがちですが、持っている衣類やブランド品なども全て合わせて、総額いくらになるかを事前に把握しておきましょう。
 
また家財は家族の人数や趣味嗜好によって大きく変わってくるので、「このくらい加入しておけば大丈夫」という目安はありません。保険会社によっては、ホームページに家財金額の目安表が掲載されている場合があるのでチェックしてみるのも良いでしょう。
 

 

②補償内容

火災保険の補償内容は多岐にわたります。一般的な火災保険であれば、火事以外のさまざまな自然災害や人災(盗難)なども補償内容に含まれます。以下に、一般的な補償内容の例を紹介します。

【一般的な補償内容】
  火災
  落雷
  破裂・爆発
  風災・雹災(ひょうさい)・雪災
  建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等
  給排水設備に生じた事故等による水濡れ
  騒擾(そうじょう)・集団行動等による破壊行為等
  盗難
  水災
  不測かつ突発的な事故(破損・汚損等)

 

中古マンションの火災保険で必要になる補償とは?

中古マンションの火災保険では、「必要な補償」と「不要な補償」があります。「必要な補償」を付けることができるのは当たり前に大事なことですが、「不要な補償」が外せないと保険料がムダになってしまいます。

中古マンションの構造上、あまり被害が及ばない災害に対する補償を外すことで、その分保険料を安くすることができます。例えば、高層階に住んでいる場合は「水災」に遭う可能性は低いでしょう。その場合は補償内容から外すことで保険料を下げられる可能性があります。

補償内容があらかじめ決まっているパッケージ型の保険より、自分でカスタマイズできる保険や、プラン数がたくさんあり柔軟に選べる保険会社がおすすめです。

 

地震保険はどうするか

地震保険とは「地震や噴火、津波による火災・損壊・流失・埋没などの損害」に対して補償されるものです。しかし、地震保険に加入する本当の意味は、「地震被害にあった自分が通常の生活へ戻るまでの軍資金」なのです。

地震保険も「部屋そのもの」と「家財」とで契約が分かれています。火災保険を申し込む人の約半数が地震保険にも加入するというデータもあります。

家そのものが潰される可能性は少ないかもしれませんが、「家財」だけは別物です。万が一地震保険の「家財」部分を契約しておらず、火災が発生しない地震により電化製品や家具類が壊れてしまったとします。家自体は潰れなくても家具や家電は買い直さないと生活ができないので、修復に多額の現金を支払わなければなりません。
 
「中古マンションなら地震での倒壊や火災は起こりにくいし、加入すると保険料も高いから、地震保険はいらないのでは?」と考えがちですが、「部屋の中の修復」だけでなく、万が一のときの「生活資金」という意味合いでも地震保険には必ず加入しておくべきです。

 

付加すべき特約

火災保険に加入する際は、「個人賠償特約」と「類焼補償特約」の2つの特約を付けることを検討しましょう。
 
<個人賠償特約>
対象の中古マンションに住む家族を対象に、自宅以外で起きた個人賠償責任を補償してくれる特約です。「自転車で人とぶつかってケガをさせてしまった」「デパートで高価な骨董品を割ってしまった」など、火災に関係ない事故を補償してくれます。

ほかの保険で個人賠償特約に加入していない場合は、万が一のために火災保険でつけておきましょう。保険料は10年間で1〜2万円ほどです。もし自動車をお持ちで、自動車保険の方で個人賠償特約に加入している場合は、二重加入になってしまうので火災保険では外しましょう。
 
<類焼補償特約>
自宅から発生した火災や破裂・爆発によって近隣の住宅にも損害を与えてしまった場合、その類焼先の分も修復費用を補償してくれる特約です。一般的には、最高1億円まで補償してくれます。

本来、失火責任法により、近隣住宅を類焼させてしまっても故意または重過失でなければ賠償責任は発生しません。それぞれが自身の火災保険でカバーすることが基本です。しかし、類焼補償特約を使って失火責任法に関係なく補償してあげた方が、類焼先の方の心理的負担の軽減につながり、今後も友好的な付き合いができるようになります。
 
火災
 

③保険金額

「保険金額」とは、火災などに遭ったときに、保険会社から下りる補償金額のことです。保険金額が高ければ、保険加入者が支払う保険料も高くなります。

中古マンションにおける火災保険の「保険金額及び評価額」の求め方はあらゆる要素が複雑に絡み合っています。大きく3つに分けて考えると理解しやすくなります。

 

1.評価額基準には「新価」と「時価」の2つがある

「新価」……新築に建て直した場合の価格(「再調達価額」ともいう)
「時価」……新価から経年劣化した分を引いた価格
 
「新価」であれば、仮に家が焼失してしまっても同じスペックの家を建て直せるだけの補償金が受け取れます。しかし、「時価」で契約してしまうと、新築から築年数の分だけ古くなった評価の補償金しか受け取れません。本当に家を焼失してしまった場合、元の家よりも価値の低い家しか建てられなくなってしまうのです。そのようなリスクを避けるため、現在では「新価」での契約が主流となっています。

 

2.保険金額は「平米単価×専有面積」で求められる

中古マンションの保険金額の求め方は、「新価」の基準に基づいて、下記の式を用いて算出します。

<保険金額の算出方法>
中古マンションの保険金額 = 平米単価 × 専有面積

ただし、保険会社によって平米単価の基準が違うので、自分では計算ができません。保険金額を知ることに時間を費やすより、「一括見積もり」を使って各社の見積もりを取ってしまった方が早いです。

 

3.専有面積の基準には「上塗」と「壁芯」がある

「上塗(うわぬり)」……壁の内側を測った面積
「壁芯(かべしん)」……壁の中心から測った面積

一般的に、中古マンションの保険金額を求める際に利用されるのは「上塗」です。上塗だと専有面積が小さくなるので、保険料が安く済みます。また、上塗は登記簿謄本の面積(法務局に届け出る面積)でもあるので、正式な面積で契約することにもなります。

 

④保証期間

「保証期間」は、長めに契約すると、1年単位で更新していくよりも保険料が割安になります。現在の火災保険は最長10年で加入できます。最長の年数で加入されることをおすすめいたします。ただし、2022年10月から損害保険各社は10年の長期契約を廃止する予定です。今後は最長5年の契約となるため、従来よりも保険料が高くなるとみられています。いずれにしても、長期契約のほうが保険料が安くなるのは変わりません。
 
初期費用を安くしたいがために1年単位で契約する人がいますが、長いスパンで見ると保険料が割高になるうえに、毎年の更新を忘れることが多いのでおすすめできません。

 

3,保険料を安くする5つのコツ

 

火災保険の保険料を安くするコツは、次の5点です。誰でもすぐに利用できるコツもあれば、購入する物件の立地や築年数、設備などに依存するものもあります。

 

コツ1:不要な補償・特約を見直す

例えば、中古マンションの火災保険に「水災」は不要です。中古マンションの2階以上の場合、水災の被害を受けることはまず考えられません。1階だとしても、地面からかなり底上げされたところに入り口がある場合は、水災の対象になることはほとんどないからです。火災保険で「水災を付けるか付けないか」が保険料を一番大きく左右する要素と言われており、2〜3万円の差が出ることがあります。
 
ただし、大きな河川がすぐ隣にあり洪水に遭う可能性が高い地域や、道路や周辺の住宅よりも地盤が下がった所に建っている場合は、念のため付与しておくと良いでしょう。

 

コツ2:免責金額を高く設定する

免責金額(自己負担金額)が高いほど、保険料を低く抑えられます。災害に遭ったとき、保険会社から保険金が支払われるのは設定した免責金額以上の損害を受けたときです。保険金額は、損害額から免責金額を差し引いた金額となります。
 
免責金額の設定は保険会社や保険商品によって異なります。免責金額なしから数万円、数十万円までさまざまです。例えば、免責金額10万円の火災保険を契約し、台風によって窓ガラスが割れて7万円分の損害が出た場合は、保険金が支払われません。仮に免責金額を5万円に設定していた場合であれば、上限2万円の保険金が受け取れますが、保険料は上がります。

 

コツ3:できるだけ長期契約をする

先述したとおり、火災保険の契約期間は最長で10年です。一括で契約したほうが保険料を安く抑えられます。2022年10月以降、損害保険各社は最長5年契約までとする予定ですが、どちらにせよ最長期間の契約を結ぶことでコストを軽減できます。

 

コツ4:新築・築浅・耐震等級が高い物件を選ぶ

中古マンションの購入者が加入する火災保険では、「築年数」「耐震等級」によって保険料が変わります。新築の物件や築浅の物件、さらに耐震等級が高いほど保険料が安くなるので、できる限り新しく地震に強い中古マンションを選ぶのも1つの手です。

火災保険の中には、築11ヵ月以内であれば「新築割引」、築10年未満であれば「築浅割引」が適用される商品があります。
 
また「耐震等級割引」では、耐震等級3の場合割引率が50%、耐震等級2の場合割引率が30%、耐震等級1の場合割引率が10%となります。他にも「免震建築物割引」や「耐震診断割引」など、耐震強度が高い物件のほうが保険料が割安になります。

 

コツ5:各社が設けている独自の割引制度を利用する

損害保険各社では、それぞれ独自の割引制度を設けている場合もあります。代表的な割引制度は以下の通りです。


【割引制度】
  オール電化住宅割引
  ホームセキュリティ割引
  エコ設備割引
  WEB申込割引
  ノンスモーカー割引
  建物・家財セット割引
  耐火性能割引

 
申し込み方法やライフスタイルによって適用される割引がある一方で、物件の設備が条件を満たしていないと適用されないものもあります。保険料で物件を選ぶ必要はありませんが、設備が整っている物件のほうが保険料が安くなる点は覚えておいても損はありません。
 
保険
 

4,火災保険に入らないとどうなる?

 

火災保険への加入義務はありません。加入は任意のため火災保険に入らないという選択肢もありますが、火災をはじめとした災害への備えや住宅ローンを組むためにも、ほとんどのマンション購入者は火災保険に加入しています。

 

火災時などに住宅や家財が保証されない

火災保険の補償範囲は広範です。自宅の火災はもちろん、隣家からの延焼・類焼リスクにも備えられます。また洪水や水漏れなどの水害、風災、雪災、盗難、個人賠償など、商品によってはあらゆる災害に備えられます。

万一の時、火災保険に加入していないと、建物の損害はもちろん、家財や衣類をはじめとしたさまざまな所持品を失うことになります。現在所持している物をすべて買い直す場合、数十万円から数百万円の出費が必要になるかもしれません。その場合、生活を立て直すために経済的・心理的負担が重くのしかかることになります。

 

住宅ローンが組めない

住宅ローンを組む際、金融機関から火災保険への加入をすすめられるケースがあります。また、住宅ローンによっては火災保険への加入が必須の場合もあります。

金融機関は、借り手に住宅ローンを融資する際に物件を担保に入れます。もし、火災や水災などの災害で物件が焼失したり大きな損害を受けた場合、担保価値が下がりますが、火災保険に入っていれば損害をまかなえるため担保価値が下がりません。貸し手である金融期間としては、担保価値が下がることを防ぎたいという意図があるので火災保険の加入を重視するのです。
 
なお、火災保険は契約者が自由に商品を選べます。金融機関にすすめられた商品以外でも問題ありません。損害保険各社はさまざまな保険商品を提供しているので、複数の商品を比較して、自身の要望にあうものを選択しましょう。
 
 

5,まとめ

 

火災保険は任意加入の保険ですが、さまざまなリスクを回避するためにも加入するのが現実的でしょう。火災保険に加入しておけば、大きな災害以外にも、日常生活で直面する多くのリスクに備えられます。

マンション購入時には新築・中古を問わずローンを組むのが一般的ですが、その際に金融機関から火災保険の加入をすすめられます。必ずしも紹介された火災保険に入る必要はないので、自分で複数の保険を比較検討しましょう。マンションを購入する時には物件にかかる費用だけでなく、融資手数料や仲介手数料、手付金など多くの諸費用がかかります。ここで紹介した5つのコツを活用して、補償内容と保険料のバランスをはかりながら自身に最適な商品を選ぶといいでしょう。
 
保険料を抑えるコツに物件の築年数や耐震等級などがあります。保険料を基準にマンション選びをする必要はありませんが、トータルの資金計画を作成したうえで事前におよそのコストを把握しておくことは大切です。
 
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