中古リノベコラム
和室を洋室にリノベーションするときに知っておきたいこと-床の張り替え編―
和室がある家に住んでいる・もしくは購入された方の中で、「この和室を洋室にリノベーションしたい!」とお考えの方はいらっしゃいますでしょうか?
買った当時は良かったものの、ライフスタイルの変化や家族の成長・人数の変化に伴い、和室を洋室へリノベーションするケースは増えています。
たった一部屋の工事ですので、簡単のように見えますが、意外と費用や工事日数がかかります。
どのくらいの費用や期間がかかるのか、工事内容別にまとめましたのでご覧ください。
工事内容ごとの比較
壁、床、建具、収納など工事内容ごとに費用と日数をまとめました。
例)8畳和室のケース
1工事ずつ順番に進めていくと、同じ業者が何度も出入りをしたり、同じ資材を別に日にバラバラで搬入する必要が出るなど、いわゆる「ロス」が発生します。つまり工事日数や工事費用が増える可能性があるのです。
DIYではなく専門の業者を入れて工事をする場合には、なるべくまとめて工事を依頼し、いっきに進めてしまうことをオススメします。
では、各工事を進めるにあたって注意すべき点や、工事の詳細内容について解説していきます。
今回は「床の張り替え編」です。
床畳をフローリングに張り替える際の注意点と実例
床の畳だけをフローリングへ張り替える場合、注意すべき点は下記の4つです。
1、集合住宅の場合、遮音規定は守れているか?
2、他の部屋との段差はどのようになるか?
3、畳の下はどのような造りになっているか?
4、壁との取り合い(継ぎ目)の巾木も変える必要があるか?
1、集合住宅の場合、遮音規定は守れているか?
まず、集合住宅の場合は多くの建物で「フローリングの遮音規定」というものが設けられています。フローリングを貼る場合、下階へ音が響かないようにするため、規定に則った「遮音工事」が必要になります。
例えば、下記のような「遮音用床下地材」を使って、床材用の下地を組んでいく工法や
防音マットと呼ばれる床下用マットを敷いて床板を施工する方法があります。
防音マット付の床材(直貼り防音床と呼ばれる商品)を選ぶ、といったことも可能です。
様々な方法がありますが、どういった方法を取るべきかを見極めるためのポイントとなるのは「段差」です。
2、他の部屋との段差はどのようになるか?
和室の床を変えることにより、他の部屋と段差が出来てしまっては使い勝手が悪いので、「下地も合わせて何センチの厚みにしたら、段差が解消されるのか」を考えます。
例えば、畳を取った後の他の居室との段差が10センチ以上あるのなら、「遮音用床下地材」がオススメです。
この下地材は【二重床】という工法に用いられるもので、高さのラインナップが幅広く、5センチから1m以上の段差までカバーできる優れもの。床が少し斜めになっていてもミリ単位で調整できるのも強みの1つです。束
にゴムがついており、この部分が音を吸収する仕組みになっています。
▼遮音床下地材を施工した写真
この下地の上に床材を乗せることで、遮音規定が守られます。無垢材やタイル仕上げなどでも使用できます。
▼無垢材仕上げとタイル仕上げ
では逆に、畳を取ったら隣室との段差が15mm程度しかなかった場合は、「マット付の床材=直貼り防音床」を採用すると良いでしょう。
LIXIL ラシッサSフロア直貼り防音床 特徴ページより抜粋
直貼り防音床の構造は上記のようになっており、コンクリートや床下地材の上に直接貼ることが出来る商品です。12~15ミリ程度の厚みになりますので、隣室との段差が少ない場合に最適な商品となっております。仕上りも通常のフローリングと全く差がありません。
▼実際に直貼り防音床を施工した写真
日本複合・防音床材工業会(JAFMA)では、直貼り防音床の商品を取り扱っている床材メーカーをまとめていますのでそちらも合わせてご覧ください。⇒日本複合・防音床材工業会(JAFMA)
では隣室の床との段差が15ミリ以上、50ミリ以下ならどうすれば良いでしょうか?実はマンションの場合はこの程度の段差になることが多くあります。
こういった場合は防音マットや合板下地を用いながら、段差を調整します。
▼防音マットの写真
例えばこういった防音マットを敷き、その上に合板を重ね床を乗せることで、大体40ミリ程度の段差をカバーできるようになります(床材の厚みや防音マットの厚みにより変動します)
このように、段差の厚みにより施工方法も様々ありますので、ご自身で判断出来ない方は専門の会社にご相談されると良いでしょう。
3、畳の下はどのような造りになっているか?
床を貼るのであれば、畳の下の状態もチェックが必要です。
集合住宅の場合、畳の下にはコンクリートや砂が敷いてあることがほとんどです。コンクリートの場合にはそのまま床下地を施工できますが、砂が敷いてある場合は撤去をして、下地を施工する必要があります。
▼畳の下の実例
また戸建住宅の場合は、畳の下に木の板が敷いてあり、その下は根太という木材を使って十字に下地を組んであるケースが多いです。
万が一木の板が腐っていたり、穴が開いていたりすると新しい床を敷いた時に床が陥没してしまう恐れがあります。状態が悪いようであれば根太や下地から綺麗にやり直しをする必要がありますので、注意が必要です。
▼根太と下地の施工写真
4、壁との取り合い(継ぎ目)の巾木も変える必要があるか?
忘れがちなのが「壁との取り合い」を確認することです。畳を外すと、壁との隙間には「畳寄せ」という細い木材が入っているケースが多くあります。場合によっては巾木という板材も取りついているのではないでしょうか?
▼畳寄せと巾木
床材を取った時にこれらの板材も一緒に取れてしまう可能性があります。フローリングにするのであれば畳寄せは必要ありませんが、巾木が無いと壁紙が剥がれたり、床と壁の間に隙間が生じてゴミが溜まりやすくなります。
床と壁との取り合いの部分に巾木を取り付けることも、忘れないよう注意が必要です。
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今回は和室を洋室へリノベーションする場合の費用と期間、そして和室の畳をフローリングに変える場合の工事内容を詳しくご説明いたしました。ただ張り替えるだけではなく、他の部屋との段差や下地の内容、巾木のことまで多岐に渡り注意する点がございました。
工事は大変ですが、フローリングにした後はお好きなテイストのインテリアを飾ったり、お手入れが楽になったりと嬉しいことも沢山ございます!ぜひこの機会にチャレンジしてみてくださいね。